東京藝術大学は、総合型選抜・学校推薦型選抜を実施していません。この記事では、一般選抜で面接がある美術学部の油画専攻、音楽学部の作曲科・邦楽科・音楽環境創造科と、小論文に口述試問を含む楽理科を扱います。
制作や演奏の実績は、受賞歴や作品名を挙げるだけでなく、何を考えて取り組み、どのように試し直してきたかまで説明できることが大切です。自分が経験したことと、大学で深めたい内容を結び付けて準備しましょう。
以下は独自に作成した架空の練習用の質問・回答例です。過去問、出題予告、合格者の回答ではありません。省略部分には本人の実際の経験を入れてください。
面接・口述試問がある学科を確認する
| 学部・学科等 | 2027年度一般選抜での扱い |
|---|---|
| 美術学部絵画科油画専攻 | 面接あり。実技の準備と併せて、自分の制作を振り返る |
| 音楽学部作曲科 | 面接あり。作曲や音楽の学習経験を整理する |
| 音楽学部邦楽科 | 面接あり。稽古・演奏と、自分の学びたい内容を整理する |
| 音楽学部音楽環境創造科 | 表現を含む面接あり。志望理由書も面接の参考になる |
| 音楽学部楽理科 | 小論文に口述試問を含む。一般的な志望動機の面接と混同しない |
この表にない学科・専攻も、すべて面接があるという意味ではありません。実技、学科、小論文等の組み合わせを、志望先の公式案内で確認してください。
出典:大学公式2027年度入学者選抜要項3・18ページ、美術学部の入試制度・音楽学部の入試制度。
作品や演奏の結果に加え、本人が選んだ表現、その理由、試し直した過程を、自分の言葉で説明しましょう。
制作・演奏の経験から、回答の材料を整理する
まず、これまでの制作や演奏から、具体的に説明できる経験を選んでください。完成した作品だけでなく、途中で変えた案、失敗した試み、人から意見を受けて見直した点も、考えた過程を振り返る材料になります。
| 振り返る内容 | 整理したい点 |
|---|---|
| きっかけ | 何に疑問や関心を持ち、その制作・演奏・研究を始めたか |
| 本人の工夫 | 素材、構成、音色、方法等を、なぜ選んだか |
| 検討・修正 | 比較した案、助言を受けて考えたこと、試し直した点 |
| 残る課題 | うまく説明できない点、さらに学びたいこと |
| 大学での学び | その課題を、どの分野の学習や制作につなげたいか |
コンクールや展覧会、探究発表等の実績は、本人が実際に取り組んだものを使いましょう。共同制作は自分の担当を明確にし、他の人の成果と区別して説明してください。
説明の練習では、作品を知らない相手に、何を伝えようとしたかが分かるかを確かめます。専門用語を使うときも、その語を選んだ理由まで説明できるか見直しましょう。
学科・専攻別の質問例と回答の組み立て方
美術学部油画専攻:その表現や素材を選んだ理由は何ですか
……(本人が制作のきっかけにした経験や疑問)……から、……(作品で考えた内容)……を表したいと考えました。最初は……(試した方法)……を使いましたが、……(気付いた問題)……があり、……(本人が変えた点)……を試しました。……(残った課題)……について、大学でも制作を続けながら考えたいです。
「独創的にしたかった」といった評価の言葉だけで終えず、何を変え、見え方がどう変わったかまで説明してください。うまくいかなかった案についても、本人がなぜ見直したかを話す練習が役立ちます。
音楽学部作曲科:作品の構想を、どのように音にしましたか
……(本人が着想を得た経験)……をもとに、……(作品で考えた構成や響き)……を試しました。……(楽譜、試演、録音等で確かめたこと)……から、……(自分で修正した点)……を見直しました。まだ……(技法や聴き方についての課題)……があり、大学で学習と創作を深めたいです。
着想と実際の作品の関係を説明しましょう。講評や演奏者の意見があれば、それをどう受け止め、自分の判断にどう反映したかも整理してください。用意した抽象的な理念だけでなく、作品の具体的な箇所から話す練習が大切です。
音楽学部邦楽科:稽古や演奏の中で、何を考えてきましたか
……(本人が取り組んだ曲や稽古の経験)……では、……(難しかった点や疑問)……がありました。……(指導を受け、自分で試したこと)……を重ね、……(理解や演奏の変化)……がありました。大学では技術を磨くとともに、……(作品や伝承等について深めたいこと)……を学びたいです。
曲名や活動歴を並べるだけでなく、指導で学んだことと、自分で判断して練習したことを分けて振り返りましょう。実際に学んでいない流派や表現の知識を、詳しいように装う必要はありません。
音楽学部音楽環境創造科:その表現と、学びたい内容はどうつながりますか
……(本人が音、表現、場や社会の関係に関心を持った経験)……から、……(制作、録音、企画、調査等)……を進めました。……(本人が担当し工夫した内容)……によって、……(得られた反応や分かったこと)……がありました。……(技術や表現等の課題)……を深めるため、大学で……(学びたい内容)……を学びたいです。
プログラミングや音響の探究、物理検定、統計検定等の本人の経験があれば、音や表現のどの課題に使ったかを整理できます。すべての志願者に理系資格を求めるという意味ではなく、一律の加点も断定していません。本人の活動に合う材料を選んでください。
音楽学部楽理科:その考えを支える根拠は何ですか
……(課題文等で実際に示された論点)……について、私は……(自分の考え)……と捉えました。根拠は……(文章や資料から確認できる点)……です。一方、……(別の見方や確かめたい点)……もあり、……(区別して考える内容)……を整理する必要があると考えています。
これは、文章を読み、根拠を説明する練習のための例です。実際の口述試問の問いや進行を示すものではありません。知っている話題へ無理に置き換えず、与えられた内容と自分の解釈を分けて説明する練習を重ねましょう。
暗記した志望理由に戻るだけでなく、聞かれた内容に答え、その根拠となる経験や作品の箇所を示す練習が大切です。
音楽環境創造科は、表現と志望理由書をつなげる
2027年度の音楽環境創造科は、面接20分の中に表現を含みます。演奏、パフォーマンス、プレゼンテーションから出願時に選択し、準備を含めて5分以内に終える指定です。複数の選択も可能ですが、1人で行い、伴奏者や共演者は認められません。
グランドピアノは用意されますが、それ以外の楽器や本人が使う機器は、必要なものを確認してください。パソコンの持参は可能でも、機器のサポートはない案内です。表現そのものに加え、準備から終了まで通して練習しましょう。
志望理由書は800字以内、所定用紙へ手書きで記入し、出願時に提出します。面接の参考になるため、表現で示す内容と、書類に書いた経験・学びたい内容がつながるかを確認してください。
楽理科は、小論文の筆記が2時間で、口述試問を含む方式です。音楽環境創造科の面接や表現とは準備が異なります。小論文と口頭での説明を、志望先の指定に沿って進めましょう。
出典:大学公式2027年度音楽学部の試験内容・課題曲(10月15日訂正版)39ページ。
スキルパスでは、本人の制作、探究、資格学習等を振り返り、志望理由と、口頭で説明する内容の整理を支援します。本人が何を考えて取り組んだかを確かめ、質問に応じて経験を説明する練習を重ねます。
FLOW実績づくりから出願まで、高校生活の流れに沿って支えます
- STEP 01高1〜高2資格・コンテストに挑戦
理系大学が評価する資格やコンテストに、知識ゼロから挑戦します。
- STEP 02高2〜高3春高大接続プログラムに挑戦
大学・研究機関の講座や研究体験への参加を、応募から支援します。
- STEP 03高3夏〜秋出願書類と面接で仕上げる
志望理由書と面接に向けて、資格や探究の経験を自分の言葉で説明できるように支援します。
- 合格第一志望
合格へ
2027年度の日程と、今後確認する募集要項
一般選抜の出願期間は2027年1月25日~2月3日の予定です。共通テストと個別試験の両方が必要で、指定教科・科目は学科・専攻で異なります。
現時点で公表されている入学者選抜要項では、美術学部の学生募集要項は2026年11月下旬、音楽学部は12月上旬の掲載予定です。出願方法、必要書類、試験日時、持参物は、公表後の募集要項と訂正情報まで確認してください。
作品や演奏の説明は、過去の記録を見ながら準備できます。制作ノート、楽譜の修正、録音の比較、活動の記録等から、本人が具体的に話せる経験を選び、実技や学力の学習と並行して整理しましょう。
東京藝術大学は総合型・学校推薦型を実施していません。志望する学科・専攻の一般選抜の指定に合わせて準備してください。
志望理由の整理には、次の記事も参考になります。


