多摩美術大学の面接対策は、志望理由を話す練習だけでは足りません。作品やポートフォリオを説明する方式もあれば、試験当日に制作した作品や書いた小論文の内容を説明する方式もあります。
作品の完成形だけでなく、観察・調査・試作を通して何を考え、なぜその表現を選んだかを説明する練習が大切です。この記事は2027年度の公式募集要項に基づくガイドです。後半の質問・回答例は架空の練習用で、公式過去問や合格者の回答ではありません。
総合型選抜の面接と作品説明
学科・専攻・コース別の試験
総合型選抜は学校長の推薦を必要としません。ただし、出願資格や合格時の入学確約の条件があります。次の表は主な試験の概要で、作品の点数・大きさ・提出方法等は、それぞれの要項で確認が必要です。
| 対象 | 面接につながる主な試験・提出物 |
|---|---|
| 絵画学科日本画専攻 | 作品・ポートフォリオ、水彩の実技、面接 |
| 絵画学科版画・プリントメディア専攻 | 提出作品、小論文、実技、面接とポートフォリオ |
| 彫刻学科 | 小論文・実技・面接、または小論文・面接。ポートフォリオも使用 |
| 工芸学科 | 小論文・実技・面接・ポートフォリオ |
| テキスタイルデザイン専攻 | 選択Aは小論文・デッサンと色彩表現・持参作品を用いた面接。選択Bは小論文と、その内容を説明するプレゼンテーション面接 |
| メディア芸術コース | 選択Aはオンラインポートフォリオと面接。選択Bはデジタル視覚表現と面接 |
| 情報デザインコース | 作品またはポートフォリオを説明しながら面接 |
| 演劇舞踊コース | 小論文・実技・面接 |
| 劇場美術デザインコース | 作品・ポートフォリオ・鉛筆デッサン・面接 |
版画・プリントメディア専攻は、2027年度から名称変更予定と示されています。古い案内の専攻名だけでなく、現行の募集要項で内容を確認しましょう。
情報デザインコースの作品と機器
情報デザインコースでは、3〜5点の作品、または5点以上の作品をまとめたポートフォリオを使って説明します。作品の例には、インタラクティブコンテンツ、ゲーム、プログラムコードによるグラフィックスやサウンド等が示されています。
閲覧用のPC・スマートフォン・タブレット等と、接続に必要なHDMIディスプレイアダプターを持参する指定があります。ネット接続ができない場合にも備えてデータを用意し、提出フォームへの作品情報入力も確認してください。
メディア芸術コースの選択Aにも閲覧機器等の持参指定があります。選択Bのデジタル視覚表現は、事前作品の発表だけでなく、試験での制作と面接がある別の方式です。
学校推薦型選抜の面接対策
学校長推薦と出願条件
学校推薦型選抜は、出願学科を専願し、合格した場合に入学を確約でき、所定の学歴条件と学校長の推薦を満たす人が対象です。油画専攻・グラフィックデザイン学科と、それ以外の対象学科等では、卒業時期の条件が異なります。
| 対象 | 面接・発表との関係 |
|---|---|
| 絵画学科油画専攻 | 持参作品・ポートフォリオ等と面接で評価 |
| グラフィックデザイン学科 | クリエイティビティテスト・鉛筆デッサン・色彩構成。面接科目はなし |
| プロダクトデザイン専攻 | 選択A・Bの実技で制作した作品を、翌日のプレゼンテーション面接で説明 |
| 建築・環境デザイン学科 | 空間デザインまたは企画デザインの試験で作成した作品・提案を説明するプレゼンテーション面接 |
| 芸術学科 | 課題提出・小論文・面接。芸術への考えや学科理解、課題等に関する質疑 |
| 統合デザイン学科 | 活動報告書・企画と構想の実技・プレゼンテーション面接 |
グラフィックデザイン学科にも面接があると、一律に説明しないようにしてください。面接がある専攻でも、他学科の所要時間や持参物をそのまま当てはめることはできません。
当日の作品を言葉で説明する練習
プロダクトデザイン専攻は、選択Aがアイデアとプロセス、選択Bがスケッチとデッサンの試験です。翌日に、それぞれの試験で制作した作品を説明します。以前作った作品の自己紹介だけを準備するのでは不十分です。
統合デザイン学科も、企画・構想の内容を説明する面接があります。本人の提案を論理的に説明する力や、質問の意図を理解して的確に返す力が評価項目に含まれています。
その場で考えた内容も、意図・選んだ方法・残った課題を自分の言葉で説明する練習が必要です。
制作実績・資格とポートフォリオの整理
受賞名より前に本人の制作過程を確認
コンテストや展覧会の実績が本人にあるなら、作品名、制作時期、本人の担当、審査結果を整理してみましょう。受賞したという事実と、作品の制作過程を説明することは別の準備です。共同制作を一人の作品として紹介することはできません。
情報デザイン等で資格学習やプログラミング経験を説明する場合も、その知識を作品にどう使ったかを振り返る練習が役立ちます。ITパスポート等の資格名を挙げるだけで、大学が定めた加点になると説明することはできません。
出願時と試験当日の提出物を分ける
学科・専攻・コースによって、出願時に送る資料と、面接当日に持参する作品・資料が異なります。オンラインポートフォリオのURLだけを送れば、実物や閲覧機器が不要になるとは限りません。
作品の写真、試作、制作メモ等は、本人が表現を選んだ理由を思い出す手掛かりになります。ただし、提出物に含めてよい範囲やサイズは、公式の指定に従ってください。
面接・作品説明の質問例と回答の組み立て方
以下は独自に作成した架空の練習例です。大学の出題予告ではありません。…( )…に本人の事実を入れ、他人の作品・実績や、制作していない作品を自分のものとして説明しないでください。
質問1|なぜその学科・専攻で学びたいのですか
…(本人の制作や観察の経験)…から、…(関心のある表現・問題)…を考えるようになりました。…(実際に試したこと)…で、…(さらに学びたい点)…が残りました。多摩美術大学の…(確認した学科・専攻の教育内容)…で、この関心を深めたいです。
大学の知名度だけで終わらず、制作経験と、そこで学ぶ理由を結び付ける練習です。
質問2|この作品では何を表そうとしましたか
…(本人が制作した作品)…では、…(表現したいこと)…を考えました。…(観察や調査から分かったこと)…を踏まえ、…(素材・技法・構成)…を選びました。特に…(本人が工夫した部分)…を見てほしいと考えています。
抽象的な作品紹介だけでなく、見える部分と本人の意図を対応させて話してみましょう。
質問3|制作途中で何を変えましたか
最初は…(初期案)…を考えていましたが、…(試作して分かった問題)…がありました。そこで…(実際に変えた点)…を試し、…(確認できた変化)…がありました。一方、…(まだ改善が必要な点)…も残っています。
完成後に考えた理由を付け足すのでなく、本人が実際に試行錯誤した過程を振り返る練習です。
質問4|その仕組み・素材・構成を選んだ理由は何ですか
…(本人が比較した方法)…を試しました。…(目的や条件)…を考えると、…(選んだ方法)…が合うと考えました。…(確認した点)…はありますが、…(未検証の点)…は今後確かめる必要があります。
情報系の作品なら、本人が実装した範囲も説明してください。美術・デザインの作品でも、素材や構成の選択と表現意図を整理する練習に使えます。
質問5|試験で制作した提案の意図を説明してください
…(実際に提示された課題)…から、私は…(着目した点)…を考えました。…(提案の対象や目的)…に対して、…(本人の提案)…を示しています。時間内では…(検討できた範囲)…まででしたが、…(さらに改善したい点)…もあります。
これは当日の制作を説明する方式を想定した練習です。事前に覚えた作品説明を、違う課題にもそのまま当てはめないようにしましょう。
出願日程とスキルパスの準備支援
2027年度の総合型・学校推薦型選抜は、Web登録・検定料の支払いが2026年11月1日13時〜11月7日18時です。郵送書類は11月7日消印有効で、海外からの郵送は同日必着です。
一方、作品資料等には出願期間内必着の指定があるため、通常の書類の消印期限と混同しないでください。オンラインポートフォリオの提出期限も確認が必要です。
試験は11月21〜22日を中心に、学科・専攻・コース別の日程で実施します。志願者数が多い場合は11月23日にも実施することがあり、その場合は事前に指示されます。面接の日時は受験票や当日の指示等、該当方式の案内で確認してください。
多摩美術大学の公式募集要項で、2027年度の学科別試験、採点基準、出願用所定用紙、持参作品・機器を確認しましょう。
スキルパスでは、本人の制作・探究を整理し、志望理由と作品の説明、質疑応答の練習を支援します。準備の進め方は、下のフォームからご相談ください。


