慶應義塾大学の総合型選抜は、法学部FIT入試、総合政策学部・環境情報学部のAO入試、看護医療学部のAO入試で、選考内容が異なります。一方、文学部の自主応募制による推薦入学者選考は、面接ではなく書類と総合考査で判定します。
本人が取り組んだこと、その過程で考えたこと、大学で深めたい問いを、受験する方式に合わせて説明できるよう準備しましょう。 この記事は2027年度入学に向けた公式要項を基にした対策ガイドです。後半の質問・回答例は独自に作成した架空の練習用で、過去問や合格者の回答ではありません。
法学部FIT入試|A方式の口頭試問とB方式の面接
A方式は模擬講義・論述・口頭試問
FITの対象は法律学科と政治学科です。A方式は書類による第1次選考の後、模擬講義50分、論述試験45分、約15分の口頭試問を行います。
口頭試問は複数の教員と受験生1名で行い、口頭で与えられたテーマについて質疑応答をします。学問的な理解力や知的表現力等を確認する試験です。2027年度は開始前の自己紹介の機会を設けないと案内されています。
自己紹介の暗記だけで対策を済ませず、問いの意味を理解し、根拠を示して答える練習を取り入れましょう。文章やニュースを読んだ後に、主張、理由、反対の見方、まだ判断できない点を整理する練習も役立ちます。
B方式は総合考査Ⅰ・Ⅱと個人面接
B方式は書類による第1次選考の後、総合考査Ⅰ45分、総合考査Ⅱ45分、約10分の個人面接を行います。
総合考査Ⅰは、グラフ・表・データ・条文・判例等の資料を読み、読み取れることをまとめる形式。総合考査Ⅱは、与えられたテーマに関する小論文です。面接の受け答えに加え、資料の内容と自分の意見を区別して説明する準備も必要です。
B方式の評定条件は全体4.0以上だけではありません。外国語・数学・国語・地理歴史・公民の指定された各教科も4.0以上であること等が必要です。調査書、在籍校等の教員による評価書、学歴、第一志望・入学確約等の条件も要項で確認してください。
A方式とB方式で実績の示し方も異なる
A方式は、学業を含むさまざまな活動に積極的に取り組み、優れた実績を示せること等が出願条件です。資格や受賞歴がある人も、名称だけで終わらず、本人の役割、工夫、結果、そこから考えたことを振り返ってみましょう。
一方、A方式の条件をそのままB方式の条件として扱うことはできません。同じ法学部でも、志望する学科・方式の要項を確認することが大切です。
SFCのAO入試|約30分の面接枠と提出資料
総合政策・環境情報とも、書類選考の後に面接
2027年4月・9月入学者を対象とする「2026夏秋AO」では、入力・提出した書類や資料で1次選考を行い、合格者が2次の面接を受けます。面接試験の実施時間の枠は1人30分程度で、最終合否は1次選考の評価と合わせて総合判定します。
面接で使用する言語は、出願時に日本語・英語・どちらでも可から選択します。オンライン申請完了後に変更できないため、提出書類の言語や入学手続に使う言語と区別して確認してください。夏秋AOの面接は湘南藤沢キャンパスで実施します。
自分の活動を、学びたい問いにつなげる
志望理由・入学後の学習計画・自己アピールでは、文章と自由記述の資料を提出します。任意提出資料には、取り組みや成果、入学後の目標を実現する意欲・能力等を示す資料を、指定された方法で提出できます。
活動を紹介するときは、本人が実際に行ったことと、今後やりたいことを区別して説明してみましょう。共同制作なら担当範囲、調査なら資料の出所、プログラムなら実装・検証した部分を整理すると、説明が具体的になります。
任意資料でWebサイトの内容を示す場合、URLだけを書いても、そのサイト上の内容は資料として扱わないと要項に明記されています。また、志願者評価は客観的に本人を知る2名に依頼する仕組みです。本人が書く資料と、評価者が作成する評価書を混同しないよう注意してください。
コンテストの実績と1次選考免除は別に確認
所定のコンテストで所定の成績を収めた場合には、証明書類を添えて1次選考免除を申請する制度があります。ただし、対象大会・成績・申請回数等の条件があり、どの資格や参加実績でも免除されるわけではありません。
情報オリンピック等の経験を紹介する場合も、自分の成績が制度の対象かどうかは要項の表で確認してください。1次選考免除を、面接や最終合格まで免除する制度だと読み替えることはできません。
看護医療のAO・文学部の選考と2027年度日程
看護医療学部はA・B方式とも第2次で面接
看護医療学部は、A方式・B方式とも書類による第1次選考の後、合格者に面接を行います。面接の所要時間や担当者数を、SFCの面接枠から推測しないよう注意してください。
A方式は学業を含む活動や成果に関する条件があり、活動報告書を提出します。B方式は全体の学習成績の状況4.5以上等が条件で、学習計画書を提出します。両方式とも学歴、志望理由、学習・研究環境を活用する意欲等の条件があるため、評定や活動歴だけで出願可能と判断しないようにしましょう。
医療への関心を語る際も、本人が学んだこと、確かめたこと、まだ理解していないことを整理してください。他者の病歴等の個人情報を詳しく話す必要はありません。
文学部の自主応募制は面接を実施しない
文学部の自主応募制による推薦入学者選考は、調査書・評価書・自己推薦書と、総合考査Ⅰ120分、総合考査Ⅱ60分による選考です。名称に「推薦」が入っていても、面接を行う方式ではありません。
総合考査Ⅰでは資料に対する理解、文章構成・表現、分析等に加え、英語・ドイツ語・フランス語のいずれかによる作文力も評価します。総合考査Ⅱは与えられたテーマについての記述です。口頭で考えを整理する練習は活用できても、受験対策は実際の筆記形式に合わせてください。
試験を実施する年と入学年度を区別
| 方式 | 2027年度入学に向けた選考日 |
|---|---|
| FIT・A方式 | 2026年9月19日 |
| FIT・B方式 | 2026年9月20日 |
| SFC・2026夏秋AOの総合政策学部 | 2026年10月17日・18日のいずれか |
| SFC・2026夏秋AOの環境情報学部 | 2026年10月24日・25日のいずれか |
| 看護医療学部AO | 第2次選考2026年10月24日 |
| 文学部自主応募制 | 2026年11月22日 |
表の各方式は、2026年10月26日時点で新規出願を締め切っています。これから出願できる日程として案内しているものではありません。SFCの「2026夏秋AO」は2027年4月・9月入学者の選考で、実施年と入学年が異なります。
受験区分、筆記・口頭試問の内容、提出書類、当日の形式を確認し、それぞれに合う練習を進めましょう。 詳細は慶應義塾大学の公式入試制度一覧から各方式の募集要項を確認できます。英語学位プログラム等は、各プログラムの要項を別に確認してください。
質問例と回答例|実績から考えたことを伝える
以下は独自の練習例です。省略部分には本人の経験を当てはめ、取り組んでいない活動や取得していない資格を加えないでください。FITのA方式で開始前に自己紹介をするなど、公式の実施方法と異なる使い方は想定していません。
質問1|法学・政治学を学びたい理由は何ですか
…(本人が調べた制度や社会の問題)…から、…(疑問を持った点)…があります。…(異なる資料や立場の比較)…を通して、…(考え直した点)…に気付きました。大学では…(法律学・政治学の学び)…から、その問いを深めたいです。
結論を主張するだけでなく、事実、理由、別の立場からの見方を説明してみましょう。実際の口頭試問では、与えられたテーマに沿って答えることが必要です。
質問2|活動の中で、どのような検証を行いましたか
…(本人が制作・調査したもの)…で、私は…(担当した部分)…に取り組みました。…(試した方法)…を比べると、…(結果)…がありました。ただし…(まだ検証できていない点)…もあり、大学で…(さらに学びたい内容)…を考えたいです。
情報オリンピック予選Bランク等の経験がある人も、成績だけでなく、どのように考えて解法を改善したかを振り返ってみましょう。統計検定やIT資格等も、実際に使った知識や方法まで説明できることが大切です。
質問3|なぜその方法で問題を調べたのですか
…(本人の探究の問い)…に対して、…(選んだ資料・実験・調査方法)…を使いました。…(その方法を選んだ理由)…があります。一方で…(条件や資料の限界)…もあるため、結果から言えることは…(確認できた範囲)…だと考えています。
物理検定・化学検定・生物検定等で学んだことを探究に使った人は、そのつながりを説明してみましょう。これらを慶應の全方式の必須資格や、1次選考免除の対象だと案内しているわけではありません。
質問4|看護を学ぶうえで、どのような問いがありますか
…(本人の学習・調査・活動)…を通して、…(健康や生活についての疑問)…を持ちました。…(実際に確認したこと)…がある一方、自分の経験だけでは…(判断できないこと)…もあります。大学で…(看護の学び)…を深めたいです。
「助けたい」という思いに加え、人の立場や価値観が異なる場合に、どのように理解しようとしたかも振り返ってみましょう。A方式の活動報告とB方式の学習計画では、提出する内容が異なります。
質問5|大学の学習・研究環境をどう活用したいですか
…(本人が実際に取り組んだこと)…から、…(残った問い)…があります。貴学の…(公式情報で確認した授業・研究分野)…に関心があり、…(学びたい知識や方法)…を身に付けたいです。今の自分に不足している…(基礎知識等)…も学び続けたいと考えています。
大学や研究分野の名前を並べるだけでなく、本人の経験からなぜその学びが必要なのかを説明してください。将来の構想を、すでに実現した成果のように話さないことも大切です。
FLOW実績づくりから出願まで、高校生活の流れに沿って支えます
- STEP 01高1〜高2資格・コンテストに挑戦
理系大学が評価する資格やコンテストに、知識ゼロから挑戦します。
- STEP 02高2〜高3春高大接続プログラムに挑戦
大学・研究機関の講座や研究体験への参加を、応募から支援します。
- STEP 03高3夏〜秋出願書類と面接で仕上げる
志望理由書と面接に向けて、資格や探究の経験を自分の言葉で説明できるように支援します。
- 合格第一志望
合格へ
スキルパスで、書類と口頭説明をつなげる
実績の名称だけでなく、本人が考え、試し、見直した過程を整理してみましょう。そのうえで、FITの口頭試問、SFCの資料を踏まえた面接、看護医療の面接等、受験する方式に合わせて練習を進めることが大切です。
スキルパスでは、本人の実績や探究の過程を整理し、志望学部・方式に応じた面接・口頭試問の練習を支援します。 出願準備について、下のフォームからご相談ください。


